『幼女戦記』と社畜魂

21世紀初頭の日本。徹底的な合理主義者でエリートサラリーマンであった主人公は、同僚の逆恨みで線路に突き落とされ命を落とす。死後の世界、創造主を名乗る存在Xは、主人公のリアリストな言動と無信仰を咎め、戦乱の世界で苦労して反省し、信仰を取り戻させるとして、孤児の少女、ターニャ・デグレチャフとして別世界に転生させる。

転生した世界は魔法技術が存在するものの、大まかに20世紀初頭の欧州に似た世界で、自身が生まれ育った「帝国」は技術大国だが経済が低迷している上に周囲諸国と外交的・軍事的問題を抱え、数年後には大戦に至る様相を呈していた。前世の記憶を維持したまま転生を果たしたターニャは、天性の魔導の才能から幼くして徴募されることとなり、それならばと士官学校へ進むことを選択する。前世の記憶を活かして軍人としてのキャリアを積み、後方勤務で順風満帆な人生を送ろうと目論むターニャであったが、思惑は外れ、大戦の最前線に送り込まれ続けることとなる。

仕事が出来るかどうかは別として、理由もしっかりと説明され、会社の最低限のルールも守れずリストラされたことを逆恨みし、人を線路に突き落とす奴もさることながら…突き落とされた主人公の思考もなかなか合理的なようで酷く偏っています。

前世の記憶と知識があるとはいえ若干9歳にして戦場に放り出される創造主の試練も厳しいもの。そんな中で大の大人たち、ましてや軍人たちの中で頭角を現していく主人公。創造主…すなわち神が奇跡を説けば、それはただの勘違いだと突っぱねる主人公に果たして信仰心はうまれるのか…それは見てのお楽しみ。

サラリーマンから軍人へ

これは完全に私個人の見解ですが、軍と会社って似てると思います。忠誠を誓う分野が違うだけで、国の方針に逆らえない軍人と会社の方針に逆らえないサラリーマン。上の指示が下ればそれに従って動かなければならず、指示に従ったあげく成果が伴わなければ責任を問われたりなんて理不尽な経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか?

本人の能力差もあると思いますが、ブラック企業の話題も後を絶ちませんし、サービス残業や休日出勤のあげく過労死なんて悲惨なニュースも耳にしますよね…。幸いにも私はまだそういった企業に属したことは無いですが、知り合いの話やニュースを見て他人ごとではないのかなと思ってしまいます。

社畜(しゃちく)とは、主に日本で、社員として勤めている会社に飼いならされてしまい、自分の意志と良心を放棄し奴隷(家畜)と化した賃金労働者の状態を言いますが、会社+家畜からきた造語で会社人間や企業戦士なんて呼び方よりも卑下された呼び方であるのは間違いなく、一生懸命働いているだけで社畜と呼ばれる事も少なくない気がします。

生活の為に会社に縛られる社畜と呼ばれる人と規律に縛られ理不尽を押し付けられる軍人。そんな理不尽を主人公はどう乗り越えるのか…サラリーマンであり社畜と呼ばれる人たちに刺激を与えてくれる作品ではないでしょうか。社畜と呼ばれる人にアニメを見る時間があるのかと言われればそれまでな気もしますが、そんな人なら時間は作るものなんて言われたこともあるのではないでしょうか。

とはいえ、ラインの悪魔などと呼ばれる主人公であり、現実離れした魔法を操る戦闘が主な為に参考になるのか?と思われるかもしれませんが、主人公の考え方と、やりようによって上の命令が絶対ではないという事をわからせてくれる作品だと思います。もちろんストーリー自体が面白く、純粋に見ても非常に楽しめる作品ですよ。

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